「ひどい話しだな……典子辛いだろうに。俺はてっきり、秀樹と雪絵が本当は付き合ってるんじゃないかと思ってたよ。違ったんだな……。じゃあ遥の振りをしてまで雪絵は典子を殺そうとしたっていうのか……」


「私も典子の気持ちを考えるとやり切れない……。雪絵は典子を殺そうとしただけではなく、それを遥のせいにしようとしてたってことよね。ひどいわ友達なのに……。そういえば、雪絵が典子の家を出て行ってから、戻って来なかったのよ。確かに、典子や秀樹と顔を合わせ辛いとは思うけど、会社にもいないみたいなの」


「一人になりたくて、どこかに行ってるのかもしれないな。チェスターが捕まってないっていうのに危険だよ」


「そうよね、大丈夫かしら雪絵」


 しばらく二人は沈黙の時間を過ごし、時計の秒針がカチッカチッと規則正しい音を刻み、静かな部屋に響いていた。

 やがて海人は部屋の掛け時計を見ると立ち上がった。