警察署に着き、海人を呼び出すと、目の下に隈が出来、疲れている様子の海人が、とぼとぼと歩いてきた。


「悪いな、わざわざ来させて」


「いいのよ。疲れたでしょ。帰ってシャワーでも浴びて」


 涼は海人に微笑むと、一緒に車に乗り込んだ。


 自宅マンションに着くと、二人はほっとした。

 涼は海人の着替えを用意し、海人はシャワーを浴びに行った。

 海人が浴室から出てリビングの椅子に腰掛けると、涼はスポーツドリンクを渡した。


「本当はビールを出したいところだけど、今から捜査じゃそうはいかないもんね」


「ありがとう。今日はごめんな。俺だって、典子が犯人だなんて、本気で思っているわけじゃないから」


 涼の目を見据えてそう云うと、海人は一気にスポーツドリンクを飲んだ。

 そして涼は深呼吸すると、静夫の浮気相手が雪絵だったことを、典子も知っていたという事実を海人に話し始めた。