「でも一件目と二件目の事件で、使われたナイフと弓矢は、おもちゃじゃなくて、本物が使われているから、早いうちに販売した店を特定できるかもしれないな」


「それならいいんだけど。早くチェスターが捕まるといいのに」


「そうだな。俺さ、静夫のお通夜、涼と一緒に行くから。篠田さんが行って来いって云ってくれたんだ」


「分かった。ねぇ海人、今頃典子独りで大丈夫かしら……。心配だわ」


 涼は典子を心配して、表情を更に暗くさせた。


「心配だな。一番辛いのは典子だろうし。これからは、俺達で元気付けてやらないとな」


 海人はソファで隣りに座る涼の手を握ると、涼は俯いていた顔を上げ頷いた。

 こうして涼と海人は長い時間話していたが、もう深夜十二時をまわろうとしている。
 部屋の掛け時計に視線を向けた後、海人は涼に微笑んだ。