自問自答を繰り返していた涼は、近くの定食屋さんの出前を注文し、海人と共に食べ終わると、ゆっくり話し始めた。


「海人、今日ね典子に聞いたんだけど……」


 そう切り出すと、典子が静夫に殺されかけていたことや、浮気相手が遥ではないかということを話した。

 涼の話しを聞き終えた海人は、吐息混じりに云った。


「そんなことがあったのか……。でも、遥が静夫の浮気相手だっていうのは確かなのか? 典子が見かけた後姿の女って、遥に似た別人かもしれないよ。それに典子の考え過ぎかもしれないしさ」


「海人は刑事だから、証拠は? とか云うつもりでしょ。証拠なんてないわよ。確かに遥に似た別人だっていう可能性もあるわ。でも今日、警察署で遥の後姿を見た典子が確信したって云うんだから、間違いないんじゃないかな。もちろん、そうであってほしくないけど」


「俺だって、静夫が典子を殺そうとしてたなんて信じたくないし、遥が浮気相手だったなんて思いたくないよ」


「海人は静夫から何か聞いてなかった? ほら、よく男同士で話しとかしてたじゃない」