「そんなことないさ、俺が早くチェスターを捕まえられないから、静夫が殺されたんだ。今日遥にも云われたよ。全くその通りだ」


 海人は悲しそうな表情でそう云うと、視線を床に落としカップの破片を拾った手を止めた。涼はそんな海人を見て、せっせとカップの破片をゴミ袋に入れ、片付け終わると話しを変えた。


「海人……。今日警察署に来た遥の様子って、どんな感じだった?」


「何で急に遥の様子なんて訊くんだ? そういえば遥は典子よりも取り乱してたなぁ」


 海人は、涼が遥の様子を訊くことの意図は分からなかったが、警察署に来た時の遥の様子を思い出しながら答えた。


「そう……」 


 涼は、今日聞いた典子の話しを海人にするべきかどうか考えていた。

 典子が静夫に殺されかけていた、そして静夫の浮気相手は遥だったかもしれないなんて。海人はただでさえ捜査で大変なのに、余計負担かけてしまうかしら。でも私独りで考え込んでも仕方ないし、海人だって典子とも遥とも友達なんだもの、話してもいいわよね。