街から少しはずれた住宅街を歩いていると、すずめが二羽塀の上に止まっていました。 「可愛い鳥さんね。こんにちは。」 「チチッ。」 由美さんが手を差し出すとすずめは空に飛んでいってしまいました。 少しだけ淋しそうに由美さんは自分の差し出した手のひらを見つめていました。 「…………。帰ろ……」 由美さんがまた歩き始めました。 僕は拾ったあの写真を眺めます。 由美さんにいったい何故、悪意の芽が芽吹こうというのか僕には分かりません。 「……っと。追い掛けなきゃ。」