「…わかった、唯登がそんな風に思うなら別れよう。
そんな気持ちの人となんて付き合いたくないから。
じゃ、また部活でね、天音部長」

『あ、ちょ、優希…!』





…1時間後、私は家で後悔していました。

唯登がカッとなっちゃうタイプなの知ってたのに!
いつもは軽く躱せてたのに!
最後の言葉は傷付いたけど!
あぁもう、たかが頬チューにあの反応!
ヤキモチじゃん可愛いなぁ唯登のバカ!

でも矢崎君の方がバカ!
喧嘩の元作りやがって!


「あーもう…
アイス買いに行こ」


近所のコンビニだし、風呂上がりノーメイク。
サンダルを履いてペタペタ歩いて徒歩二分。
ハーゲンダッツ…
何味か迷っているとまさかの声が聞こえた。


「優希ー!
え、何これ運命!?
うわぁすっぴんも可愛いね!
なんか無防備ーって感じ!
あ、やべムラムラしてきた」

「矢崎君…」


何故ここに。


「何、アイス買うの?
奢ってあげようか!」

「別に良い。
自分は?」

「俺は夜の走り込みー。
たまたま優希が見えたから来ちゃった!
あ、運命じゃないじゃんとか言わないでね!」


夜の走り込み。
ちゃんと見てみると首にはタオル、長い髪は後ろで結ばれて汗もかいてる。
…同じにされたくないとか考えてたけど、タイプとかで決めたり、失礼なことしてたかも。



「…申し訳ない」

「え、何いきなり!
俺と付き合う気にでもなってくれた!?」

「それはない。
水分補給はちゃんとしてる?」

「あ、マネージャーっぽーい。
さっき無くなっちゃった。
調度良いから買おー…ってサイフないし!
だっさ!
これじゃ奢れないし!」


オーバーリアクションに落ち込む矢崎君。
ちょっと気が楽になったかも…


「…特別に、そして最後に、奢ってあげるよ。
お詫びもかねて」

「え、何のお詫び!?
まぁ良いや、助かる!
今度ディナーでもご一緒しようねーっ!」





 私の困難、自業自得だよね…