『失礼します、こんにちは!』

「おぉ、よく来てくれたね天音君。
それに日隈さんも。
お茶を持って来させるから、座って」

「有難うございます。
昨日はお世話になりました。
とても勉強になりました」


昨日の宣言通り、放課後、私と唯登は試合をした隣の高校に来ていた。
もう試合の翌日に私達が来るのは当たり前になっていて、あちらの先生も部屋をとって待っていてくれる。


「昨日は驚いたろう、うちの隠し玉」

『はい、とても!
まさかあんな選手がいるなんて想像していませんでした』


悔しそうに、でも正直に告げる唯登に先生も満足げ。
隣で静かに話しを聞いていると、三回扉がノックされた。


「おぉ、来た来た。
入っておいで」

「失礼しまーす」


勢いよく扉が開き、そこに立っていたのはお盆をもった一人の男子生徒。


「また足で開けて…
紹介するよ、うちの隠し玉」

「あ、矢崎 紘(ヤザキ ヒロ)です。
昨日はお疲れ様でしたー」


軽く頭を下げて気怠そうに笑うのは昨日の試合でいきなり登場し、シュートを決めまくったあの彼。
途端に目を輝かせて立ち上がった唯登を横目に、ゆっくりと立ち上がって頭を下げる。
と、目が合った。


「紘、こちら部長の天音唯登君と―…」


先生の話の途中に矢崎君は荒っぽくお盆を置き、バッと私の手を両手で掴んだ。


「やっぱ美人じゃん!
昨日俺かっこよかったっしょ!
見てくれてた!?
いやぁ、マネージャーがこんな美人なら俺毎日練習出るわー!」

『こら手を離せ、手を!』

「良いじゃん、あんたただの部長だろー!」

『彼氏だ!』

「こんなお堅そうなのが!?
苦労するよー止めときなよー」

『余計なお世話だ!』


言い合いを始める二人に私と先生は遠い目。



「苦労するね…」

「お互い様です…」





こんな私の苦労、いつものこと。



矢崎→§FC3S§さん
紘→*HINA*さんからいただきました!
主人公じゃなくまたまたミックスで申し訳ないですが…