「え、と、失礼しますっ!」
放課後、隣を歩く吹雪くんの腕に自分の腕を絡めた。
悠斗くんにもした事ないや…。
「ゆゆゆっ、由空!
ストップストップ!」
「ふぇっ!?」
吹雪くんが慌てて私から離れた。
あ、悠斗くんっぽくするために、由空って呼んでもらっています!
「あの、上出来。
でも彼氏以外の男にはするな。」
「当り前だよ!
でも今は吹雪くんが彼氏だよ?」
恥ずかしいけど、悠斗くんの時に失敗しないために今の内に練習しなきゃ。
また吹雪くんの腕に自分の腕を絡めたら吹雪くんが唸った。
「俺は愛華が好き、愛華の彼氏、由空は友達…。」
「どうかしたの?」
俯いている顔を覗き込んだら吹雪くんの顔は真っ赤だった。
「俺、愛華以外に女の子慣れしてないから…。
由空が女に見えて戸惑う…。
いや、確実に好きなのは愛華だけど!
由空ってほら、誰から見ても可愛いから!
裏彼女にしたい女子No.1だから!
だからちょっとドキドキするだけであって!」
「ど、ドキドキ!?
裏彼女にしたいって…キャッ!」
二人でくっついたまま混乱していたら、後ろから思いっきり引っ張られてふらついたところを抱き留められた。
『…由空、浮気してんの…?』
「っ!」
この声は悠斗くん…!
悠斗くんの腕の中で振り向いて見上げたら、また、あの日のような無表情だった。
『またこいつといたんだ。
腕まで組んで、密着して?』
グッと胸板に頭を押しつけられた。
い、痛い…!
手をバタバタしていたら吹雪くんの声が聞こえた。
「…おいおい。
お前も色んな女とくっついてイチャイチャしてんだろーが、あ゙?
なんで由空は駄目なんだよ。」
『五月蝿い。
あんたには関係ないだろ。』
「独占欲強いなぁ。
嫉妬?」
『だったらなんなんだよ!』
彼氏の嫉妬、…え、嫉妬…?