「あのね、康平…」

『ん…?』

私が話し掛けると康平は顔を上げて私の顔を覗いてきた。
ちゃんと、伝えなきゃ…。


「私の勘違いで、ホントにごめんなさい…。
やっぱり私…っ」

康平は私の言葉を待たずに机の上に座って私の手を取って手首にチュッと口付けた。


「あっ…」

『痛かっただろ?』

見上げるように顔を覗かれてまた顔が熱くなる。
康平に強く握られた腕の方…


「っ康平、ちゃんと聞いて…?」

『やだ。』

「やっ…」

やだって…!
いや、可愛いけれども…!


『別れ話なら聞かない。
高島が良くなったとしても、離さない。
もう、恋人みたいに指絡めたりさせない。
お前に触って良いのは、俺だけだ…。』

康平は私の両手と自分の両手を絡めて私の指に愛おしそうに口付けた。


「別れ話なんてしないよ…っ。
康平が好き、妹でも、キスなんてしてほしくない…」

またポロポロと涙が出てきて。
康平はふわっと笑って私の額に自分の額をコツンと当てた。



『俺は綺袮のものだ。
俺は綺袮が好きだ。
もう、綺袮としかキスもしない。
手も繋がない。
だから、綺袮も…』

チュッ―…


優しい音が教室に響いた。
私からキスしたのは初めてかもしれない…。





 私の彼氏の想い、嬉しいよ…