お通夜の後、親戚一同だけが二階に集まり故人を偲ぶ。

 俺は興味がないので、ぶらぶらと携帯片手に建物の外に出た。


「やっとお通夜が終わったよ~疲れた」


 ツイッタンにそう書き込みをし、新たな獲物でも探そうかと、色々な人のところを覗いてみた。すると、何人もの人達が同じ話題で盛り上がっている。


「すげーよな。人間として終わってるよ」


「つうか酷すぎるだろ」


 どうやら読んでいくと、共通の人物の悪口で盛り上がっているようだった。これは面白い。俺より嫌われてる奴がいるのか。そうだ、俺も悪口に参加してみよう。そうすれば、俺にコメントがくるかもしれないし、楽しめてコメントがくるなんて一石二鳥じゃないか。


「そんな酷い奴がいるんですね」


 すぐに返信が来た。そこには言葉ではなく、画像のURLが貼られている。
 俺はにやけながら勢いよくクリックした。


 ――何だ、これは……。

 画像は、葬儀の最中に携帯をいじり、にやにやしている俺が写っていた。

 一体誰がこんなこと……。この写真が撮れるのは、女房の幼馴染だ。確か、お通夜の最中も、葬儀屋の幼馴染が写真を撮っていたではないか。

 ちきしょう! 俺に何の恨みがあってこんなこと……。
 俺は全身が火を噴いたように熱くなり、怒り心頭した。

 もう一度ツイッタンを見ると、今まで俺にフォローしていた人達が一気に消えている。毎日こつこつフォローして、やっと百人を超えたところだったのに……。

 いなくなった人達のコメント欄を見ると、またしても俺は名指しで悪口を書かれていた。


「そういえば、ゴロンゴロンって、前に20ちゃんにも書かれていたんだってね~」


「ネット上だけじゃなくて、リアルでも最低!」


「にやにやして葬儀の実況中継って、どんだけ頭いかれてるんだよ」


 俺は拳に力を入れ、一度ツイッタンをログアウトすると、二階にいるはずの女房の幼馴染に文句を云いに行こうと決めた。