「テンコさん、かわいいですね。俺の初恋の人に似てる」


「え~そんなことないよ。ゴンゾウさん、今日は何してるの?」


「コタツでゴロゴロしてるよ。テンコさんは?」


「私は今子供のご飯を作ったとこなの」


 子供という単語から、ゴンゾウはふと思い出した。そういえば今日は子供の卒業式だったっけ。自分の子供からも相手にされないゴンゾウは、小学校を卒業する娘に対し、何の感情も抱いてなかった。ゴンゾウが興味を示しているのは、もはやツイッタンにいるテンコのみ。


 しばらく経つと、テンコとはだいぶ仲良くなっていた。けれどもゴンゾウにとって問題なのはテンコが自分以外の人達とも仲が良いことである。

 どうして俺だけを見てくれないんだ。他の人と楽しく話して、俺の存在を無視しているのではないか? ゴンゾウはそんなふうにしか考えられなかった。


「テンコさん、俺のこと嫌いになったの? どうせ俺なんて、話しも面白くないから」


 テンコにそういえば、少なからず自分に返事がくるだろうと精一杯計算した末のコメントだった。


「ゴンゾウさん、急にどうしたの? 嫌いじゃないよ~」


 ゴンゾウの思惑通り、テンコから返事がきたので安堵のため息を吐く。

 その後もゴンゾウは自分だけと仲良くしてもらうために、テンコが他の人と会話する度に、何度もこの手を使った。