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「春子さんって年齢不詳だよな」
「俺子供いるって聞いたけど」「いや、そりゃないだろ。いたら寮監なんてできねぇよ」


皆に踏まれてコンクリートに張り付いた桜の花びらの上を、僕と西もまた同じ様に歩いていた。
周りは同じ制服の群れ。この時間に登校してるということは、僕たちと同じ新入生だろう。

新しい生活に胸を弾ませている他の新入生に比べて、僕たち二人は妙に落ち着いていた。

「そりゃそうだろ。一週間も前から寮に入ってんだから、新鮮もくそもないよ」

西が苦笑いで言った。

「でも驚きだなぁ。中川と同じ高校だなんて」
「それ、俺をバカにしてんの?」
「誉めてんだよ。よくここに受かったなって」

結局バカにしてんじゃんと思いつつも、僕は反論できないでいた。


桜の季節。
新しい季節。


季節は巡り、僕は気付いたら高校生になっていた。