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再び浮遊感から解放され、靴底が床に着いた感触を確認する。
目を開けば、空間移動をする前にいた、暗い時計塔の螺旋階段の下。
床には血の跡も、魔方陣も姿はない。
「うぁ……くっ……」
そのまま時計塔をあとにしようとしたあたしの耳に、誰かのうめき声が聞こえて、初めて誰かがいる事に気付いた。
「……永遠??」
宵闇に溶け込むような黒髪と紅みがかった瞳、見覚えのある姿は永遠だった。
「その、声は……蒼……?」
永遠の言葉は途切れ途切れで……。
それを聞いてあたしはあることを思い出し、ゆっくり永遠に近づいた。
「……どうやって、外からここに??」
永遠の身体からは、刹那によって力を奪われてるから普通簡単には動けない。
きっと、立ち上がるのがやっとなはずだ。
それにこの時計塔の周りに、あたしは確かに術を仕掛けた。
「どうやって、って……普通に……来たん、だけどっ」
呼吸が荒く、声が擦れているように聞こえる。
普通にって……力を刹那に奪われた身体で??
あたしが仕掛けた術の中を、そんな身体で来たってゆうの??

