――――……
浮遊感が無くなり、靴底が床の確かな感触を感じとった。
さっきとは打って変わり、瞼を閉じているとゆうのに瞳では光を感じる。
あたしはゆっくりと目を開いた。
あたしがここに空間移動した時、自動的に壁に備え付けられた蝋燭に火が灯る。
まだ薄暗いけどさっきに比べればとても明るいこの部屋は……、あたし専用の書庫。
正確には、魔術族の当主だけが入る事ができる部屋。
基本的にここには来ないんだけど……"牙來条"とゆう名はここで見たはずだ。
確か見た場所は……、
――――"ヴァンパイアの歴史書"
あたしは静かな部屋に足音を響かせながら、書棚に向かう。
高い天井に届きそうな書棚には、あたしでもすべてを把握しきれないほどの書物が置かれている。
……さすがにあたしだけじゃ、調べきれないか……。
あまり使いたくは無いけど……仕方ない。
あたしは書棚の間を通り抜け、書庫唯一の椅子に座ると……
「"牙來条"とゆう言葉が一度でも入っている書物を、ここへ」
空中に呟いた。

