†Bloody Cross†



「そういえばその子、さっき永遠に血を飲まれていた子よね??」


「あぁ、この女を連れてくるついでに、いつものように吸血鬼に警告をしておいた。これで永遠にも後が無くなったな」


少女はあたしの前を歩く白夜の肩に担がれているため、手を伸ばせば簡単に届く位置に少女の顔がある。

俯く少女の顔を覗き込むと、頬が微かに上気していて息遣いも少し荒い気がする。

少女の額に掌を当てると、掌から熱っぽさと微かな汗の感触が伝わってくる。


「……この子の身体、すごく熱いわ」


さっき永遠に血を飲まれてすぐの時は、なんとも無かったはず……。

なら、やっぱりあたしが彼方を追い掛けて目を離した隙に、永遠に何かをされたのだろうか??


「安心しろ。少なくとも、俺が見ている間には毒などは飲まされていなかった」


「でも……身体がすごく熱い」


燻る不安は、白夜の曖昧な証言のせいで更に不安が膨れ上がってしまう。

あたしが同じ言葉を繰り返して呟くと、少女の額に当てていた掌を白夜にぐっと引かれる。


「……?!!」


「この女の身体が熱く感じるのは、蒼の手が冷たいせいだ。こうすれば、俺の身体も熱く感じるだろう??」






手首に感じたのは少女ほどじゃないけど、熱っぽい白夜の掌。






「ふぁ……びゃく、や……息が、耳に、かかって……ッ」






耳にかかる白夜の吐息と白夜から微かに薫る百合の匂い。






「フッ、顔が赤いようだが、熱でもあるんじゃないのか??そんな声を出して、誘っているようだな」






いつの間にか腰に回されていた手によって密着された身体は、白夜の腕ににすっぽりと収まってしまうほどに体躯の差が出来ている。






「んぅ……誘ってなんか、なぃ」






白夜を見上げれば、ただひとつだけあの日とは違う哀しげに眉間に皺を寄せ瞳を揺らす白夜の姿があった――――……