目が合ったのはほんの一瞬。
でも、気配を消しているはずのあたし達と彼方の目が合うのは普通じゃなくて……。
「ほぅ……俺達がここに居ることに気付いたか。鈍いわけでは無いようだな」
あたしと同じく彼方がこちらを見たことに気付いていた白夜は、感心を含んだ楽しげな声音でそう呟く。
白夜が吸血鬼を褒めるかのようなことを言うのは、珍しいどころか初めてで……。
「んぅ……やっ!!」
「別にいいよ。僕はさっきの休み時間にも補充してきたし。それにさ……ここからその子が怯えてる顔を見てるのも悪くないしね」
やはり血に飢えた獣のように少女の首筋に顔を埋める永遠と、それに冷静に返す彼方を見ていると胸がざわめく。
胸騒ぎがしてならない――――……
「んじゃ、遠慮なく」
その言葉を合図に、少女のことなど顧みず血を貪る永遠の姿を、ただ見つめることしか出来ない。
胸騒ぎは永遠が少女の首筋から顔を上げ、吸血が終わっても晴れることは無かった――――……

