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「ふふっ……」
ふと遠い昔のことを思い出せば、思わず口から笑みが零れる。
「泣いたり笑ったり、忙しい奴だ」
呆れたように微笑む姿は、遠い記憶となんら変わり無いように感じて懐かしい。
あたしの頬に添えられた掌も、微笑んだ表情も、あたしに対する接し方も……何一つ変わらない。
「変わっていないのは、白夜のほうよ……優しいところとかね」
白夜がしたように、あたしも白夜の頬にそっと掌を添える。
出会ったあの日に比べ、白夜の頬に掌を添えるのは容易く、ふと思えば白夜の顔も近くに見える。
あたしはあの頃に比べて変わったと、自分で思う。
白夜がなんと言おうと、その事実は揺るがない。
変わってしまうのと、変わらず在り続けるのでは……どちらのほうがいいんだろう……??
胸に黒いわだかまりを造るこの疑問の答えは様々で、ひとつの正解なんて……無い。
あたしはふわふわと風に流されるように、移りゆく周りの世に感化されて生きてきた。
確固たる意志の無い自分が、一体どんな答えを求めているかなんてあたしには知る由も無い。
ただひとつ、あたしを縛り付けるのは……
――――罪という名の償うべき"贖罪"

