「相変わらず、突然現れるわね……白夜は」


右頬に添えられた白夜の手にあたしも手を重ねながら呆れたように微笑んでみせれば、白夜は眉間に微かに皺をよせた。

白夜はあたしが自分の贖罪を後悔してしまう時にばかり、まるで計ったかのように突然現れる。

そのたびにこの上なく優しくされたら、いけないって分かっていても甘えたくなってしまう。


「蒼とて相変わらずではないか。俺の前では無理して笑うなと、言っているだろう??」


添えられていただけだった白夜の掌が、あたしの掌をすり抜け瞼や口唇をなぞる。


「無理なんてしてない……」


「嘘をつくな。何年も共に過ごしていれば、それぐらい分かる」


言葉を遮るように間髪いれずに言われては返す言葉も無く、あたしは開きかけた口を真一文に結ぶ。

紡がれる言葉自体は厳しいのに声音は優しくて、視界が歪み目頭が熱くなる。






「フッ……泣き虫なところまで変わらぬのだな」






目端に溜まった涙を指で拭いながら微笑む白夜を歪む視界で見れば、白夜と初めて会った日が脳裏に浮かぶ――――……