「俺になんか用か??」
威圧的な雰囲気とソイツの右手に握られている刀に、警戒しながら問う。
「俺自身は貴様なんぞに用は無い。ただ蒼に伝言を頼まれた故、ここに居るまでだ」
蒼って……銀月の蒼か??
こんな知り合い、蒼にいたのか……。
ソイツは至極つまらなそうに空見上げた後、ゆっくりと視線を俺に向けた。
血のような紅い瞳を細めながら、やはり緩やかな動作で刀を鞘に収めた。
「伝言を告げるぞ。"1度は見逃してやる。次は容赦なく殺す"と、これが蒼の伝言だ」
「……なんのことだ」
伝言を告げるとすぐに去ろうとするソイツにそう返せば、馬鹿にしたように口端をあげ嘲笑う。
蒼が何を見逃すと言っているのか、心当たりが無いわけじゃない。
今このタイミングでコイツが現われたんだ……考えるまでもなく予想がつく。
ただ、蒼の気配なんて……俺は微塵も感じなかったぜ??

