もしや先生!?

ハッとして顔を上げると、
そこにいたのはにこにこ
笑顔の未唯だった。



「未唯……。びっくりした」


「あーやっ♪ たいくつだから来ちゃった」



いたずらっ子みたいに
へへっと笑う未唯。
ちょうど会いたいと思った時に
来てくれるなんて。


あーもうっ、大好き。



「未唯あのね、私も今…

「あっ! 未唯ちゃんだ!」



心躍る私の言葉を無惨にも遮ったのは、
同じ掃除場所の女の子たちだ。
確信犯だろうか。



あーあ……。
私はがっくりと肩を落とした。



「どうしたのー? 未唯ちゃん
 階段掃除だったよねえ?」


「うん、でも絢に会いたくて
 来ちゃった!」


「えー、絢ちゃんにー?
 ふーん……」



明らかに私に向けられる冷たい視線。


悔しい。
こういう時、未唯が人気者で、
私が不人気者という現状が突きつけられる。



「やばいっ先生だ!
 じゃあ絢たち、またね!」

未唯はそう言うと、ばたばたと
階段の方に走って行ってしまった。


先程の女の子二人は、
またこそこそと話をしている。
ちくちくと感じる視線。
どうせ私の事を言っているんだろう。



はぁ……と、
本日二回目の大きな溜息が漏れた。