「なーんか今日もすごかったね」

「ねー」



そうじの時間。
さっきから、しきりに女の子達の
ささやく声が聞こえてくる。
きっと五時限の数学の事を
話しているのだろう。


私には相変わらず未唯以外に話す人も
いないため、さぼる女の子達をよそに
淡々とそうじを続けていた。




「ふぅ……」



中学の頃はこんなに真面目に
掃除をした事がなかった。
箒を動かすだけで、
こんなに肩が疲れるんだ。


なんだかだるくなり、先生が
いないのを確認すると、脱力して
壁にもたれかかった。
ぼんやりと視線を床に落とす。



私の担当場所は廊下。


ここの廊下はやっぱり
不自然なほどに白い。
雨の日なんかには歩くと
キュッキュッとゴムの音がするし、
なんだか目に馴染まないけど。


まぁいいか。

私は未唯に会ってから、
この高校までも好きになってきていた。


未唯は魔法使いかもしれないな。
未唯に出逢えた事、運命だって
信じてもいいよね?


そんな風に考えていたら、目の前に人影が現れた。