「じゃあ…未唯」
「ありがとー」
未唯の顔を見ていると、
なんだか心が軽くなっていった。
すごく魅力的な笑顔だった。
ホームに着くと、今度は私から
何か話しかけなくては、
と思って、遠慮がちに
「未唯、」と言ってみた。
「ん?」
「未唯は上り? 下り?」
ごく普通の質問に、こんなに緊張している。
私ってこんなに人見知りだったっけ?
中学の頃は周りからも明るいと
言われていたのに。
自分は数週間のうちに
そんなに変わったらしい。
「下り! 絢ちゃんは?」
「あっ、私は上り。反対だったね…」
私がそう言うと、
未唯は「ははっ」と笑い出した。


