「……さようなら、陸」


私は最後にそれだけ呟いて、そのままその場から立ち去った。




生温かい。……でも優しい風が、私を優しく包み込んでいた。


その時、私の頬に一粒の涙が伝った。




「……ヒックッ」


私は急に涙が止まらなくなった。




「陸……」


私、陸が本当に大好きだった。




陸と過ごす時間はとても楽しくて、イヤなことも忘れられた。


時々はにかむように笑う陸に、私はいつもドキドキしていた。




私はいつしか、陸の隣りに居るのが当たり前だと思っていた。


だからずっと一緒に居られると思っていた。




でも私のそんな願いも意味はなくて、陸にはもう届かないことを知った……。