最初に身を包んだ時は、着てる当人は勿論、恐らく周りのものも違和感を覚えたであろうこの軍服も、今ではすっかりと身体に馴染んでいた。


 赤紙徴兵のときに母親から貰った御守りを、後生大事に胸元に入れてある。
迅天隊に志願したことも、配属になったことも、両親には話せていない。


 十死零生と言われている特別攻撃隊への在籍が、両親をどのような気持ちにさせるか、想像に難くない。


 特別攻撃隊の中でも、迅天隊はより一層の操縦技術が必要とされる部隊だ。
そこに在籍するというのは、航空部隊としては大変名誉なことであり、それだけ自分の力量を買って貰えているという自信にも繋がる。


 それでも、両親が喜んでくれるかそれとも嘆息するか。
僕の思惑と両親の期待が、反しているか沿い合わせているか。

 表面では理解してくれると信じていたが、心の中まではわからない。
だから言えなかった。