外に出ると、潮の香りが混じった気持ちいい風が吹いた。 空はぬけるように青く澄んでいて、ついこの間まであった白い入道雲は鳴りを潜めていた。 踏みしめる砂に、地に足をつけている感覚が呼び起こされてくる。 飛んでいた空が思い返されると、野田への言葉が口をついた。 「良かったな、野田」 前を歩いていた野田はこちらを振り返り、少し恥ずかしそうな素振りをしながらも、嬉しそうに頷いた。