躊躇うことなく敵機に向かってぐいぐいと高度を上げる。 湯川君たちと弾幕をすり抜け、すぐ目の前に敵機が迫った。 脱出用の取っ手に手を掛ける。 この空から見える景色を瞼に焼き付け、ぐいと力一杯それを引いた。 何も知らない子どもたちが、防空壕などに隠ることなく、僕らが泥まみれになって鬼ごっこをしたように、安心して外で遊べる世の中になることを信じて、今。 「大日本帝国、万歳!」