そんな爆弾の話を聞いた夜、僕はなんとなく眠れなくて、そっと布団から這い出した。


 窓からはぼんやりと月の光が溢れ、薄暗い部屋の中をそっと照らしている。


 蒸し暑い夜だったけれど、寝静まった部屋は規則正しい寝息だけが支配していた。


 いつもなら五月蝿いくらいの鼾の合唱すら、今夜は聞こえてこない。


 違和感を感じつつも、もしかしたら皆本当は眠れなくて、布団の中でじっとしているだけなのかもしれない、などと思った。


 勿論そんな筈はないのだけれど。


 僕は隊規を破ることを覚悟の上で、部屋からそっと抜け出した。


 そして僕らが命を預ける機体が収納されている格納庫へと、その足を向けた。