それはふいに鳴り響いた、敵襲を報せる合図で終わりを告げた。


 宿舎に備え付けられた拡声器から、入り乱れた雑音と共に、辺り一帯に響き渡る。


 皆は繋いでいた手を離し、緊張した面持ちで上官からの命令を待った。

 勿論僕も例外ではなく、報せにより一時(いっとき)跳ねた心臓が、速き鼓動を奏でておさまらない。


 冷たく流れる汗は、鬼ごっこでかいたものなのか、報せでどっと滲んだものなのか、わからなかった。

 出撃するのだろうかという不安と期待が、ないまぜになって僕に襲いかかる。


 祈るような気持ちで、上官たちの指示を待った。