子どもに戻り、矯声をあげたいくらいのどしゃ降りだった。

 今すぐに外に飛び出してずぶ濡れになって、そこらじゅうに転がって泥んこになって、恥も外聞もなく目一杯遊びたい──と訳もなくそう思った。


 地面が捲れ上がってしまいそうな勢いのある雨に、自然の躍動を感じるからかもしれない。


 でもそんなことは出来る筈もなくて、少し湿っぽい布団にくるまって、窓の外をぼんやりと見るにとどまった。


 そのあいだも、寄宿舎として使われているこの建物に打ち付ける雨は、ただ勢いを増すばかり。
おそらく今日中に止むことはないだろう。


 そう行き当たって、あぁそうかと納得する。
この雨が歓迎すべきものであるのを、頭よりも先に、心が理解したのだと思った。