*笑顔…2*


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『フォール立入禁止』


宿屋に戻ったフォールの目に入ったのは立入禁止。


(…俺、何かしたか……?)


思わず考えてしまう。

ドロップはすぐヘソを曲げるし、リムは悪戯で立入禁止を掲げたりする。

基本はすぐ解除されるはずだが、機嫌を損ねている場合の交渉はなかなか難しい。

―…コンコン。


…応答なし。

なぜならドロップとリムは手が離せない。
そんなことは知らないフォール。
応答がないので仕方がなく本を読みに外へ向かう。


(こんなこと前にも昔、あったかな…?)


       *


読書を始めて数時間。


「フォール!!入っていいよー!!」


ドロップの大きな叫び声。
周りの人の視線は二人に注がれる。


(昔からホントに周りなんて気にしないな…。)


そう思いながらフォールは部屋に向かう。


―…キィ…バタン。


「「一日早いけど、誕生日おめでとー!!」」


開けた瞬間、ドロップとリムの第一声とフラワーシャワー。


(…忘れてた。)


入って机を見るとちょっと不細工なケーキが一つ。

「ケーキ、ドロップが一生懸命作ったんだよ。」

フォールの視線に気づいて伝えるリム。

「へぇ…。」

「不細工だけど味は美味しいはず…!」

「ふぅん…二人ともありがとう。」

そう言ってフォールは二人に笑った。
おそらく飛び切りの笑顔をしたことを本人は知らない。


「じゃ食べようか?」

「あ、リム待って!ロウソク立てなきゃ!」

「え……。」

「あ、そーだったね。」


「「はい、フォール!!」」


嬉しそうにロウソクを立てた二人はフォールに向き直る。

フォールはロウソクを目の前に固まるしかなかった…。