こういう時の授業ってなんで早く感じるんだろう……


あっという間に終業のベルが鳴ると、周りは一斉に帰り支度を始めた。


私は篠に救いを求める様に見つめていると、篠も私からの視線を感じたみたいで、こっちを見ながら目配せをしてきた。

私は頷いて精一杯の笑顔を見せたんだ。


テスト前って事もあるのか、みんな帰るのが早かった。





「純那…」





遊から呼ばれ私の体は、一気に緊張状態になった。

ゆっくりと振り向くと、遊が真っ直ぐと私を見ていた。

あの日以来、始めてちゃんと遊を見た気がする。



少し…怖かった。



そんなに真っ直ぐに見つめられると、真っ黒な瞳に吸い込まれそうになるよ。


心臓の音が教室中に響き渡りそうだった。