少ししてから、病院の先生と看護婦さんが回診に来た。

体温も平熱だし、他にも特に異常が無くとりあえず一安心したよ。

ただ、忙しくて病院に行く暇が無いだろうから、今回健康診断を一気にやってみたらどうか?と先生が言ってくださった。

私も心配だったから、即先生の意見に賛成したんだ。
渋々お母さんも了承し、あと1週間程色んな検査をする事になった。


昼過ぎ、飲み物を買いに下に行こうと病室を出た。

廊下に出てフッと顔を上げると、遠くから見た事が有る人がこっちに向かって歩いて来るのが見える。


その人の顔を認識した時


一瞬にして、体が凍りついた。



なんで、居るのよ?!


大きめな荷物を持ち、颯爽と風を切り真っ直ぐ私に向かって歩いて来ていた。

カツカツと歩くヒールの音が、廊下に響き渡っていた。

その人は、私の目の前まで来るとピタッと止まり、ピンク色の花束を私に差し出した。


「お見舞いに来ました。これ、お母様に」


差し出されたピンク色の花束は、私の胸の前で受け取って欲しそうに待っていた。