保健室に着く前に、ゴシゴシと涙を拭った。


―――バン


意外と思い切り開いてしまい、ものすごい音がした。


「一色先生!!」


幸いな事に他に生徒は居なく、一色先生は椅子に座っていた。


「し…新庄さん」


私はドアを閉め、努めて冷静に話し始めた。


「真咲先生と別れました。だから、真咲先生を教育委員会に言ったりしないで下さい。

そして、幸せになって下さい」


私はそれだけ言うと、クルリと向きを変え出て行こうとした。

もう、ここに用はない。


―――グイッ


「新庄さん!!」

私は肩をグイッと掴まれ、仕方なく足を止めた。


「離して!!まだ…何か求めるの?」

前に進もうとする私に


「なぜあなたは……そんな事を…」


なぜって??


「真咲先生を愛しているから」


そう言って、振り返る事無く保健室を後にした。