―――コンコン


「は―い、どうぞ」


そう言いながら、真咲先生はドアの方に歩いて来るようだ。

私がドアを開けると、いささか驚いた様子で私を見た。

真咲先生を見る事が出来ずに、私は用件だけ話して走って逃げ出したんだ。


あ―――バレバレ


でも、泣き顔を見られるより良いでしょ?

私は図書室に逃げ込むと、屋上まで一気に駆け上がった。


――――バンッ


勢い良くドアを開けると、走ってフェンスまで向かった。


先生と生徒


嫌でも突きつけられた現実に、すぐに逃げ出してしまった私は、相当な弱虫。


分かって居たけどさ……


もちろん、真咲先生は追いかけて来るはずもなく私はただ1人フェンス越しに空を眺めていた。

秋になりかけているからか、少しずつ日が短くなっている。

遠くに見える朱色の夕日は、私の顔を朱く染め上げていた。