そんな左手を意とも簡単に離してしまう先生は、やっぱりズルい。

優しく頬を触る先生の右手は、クイッと私のあごを上げた。


腫れた目を見つめる先生。


こんな事したら、みんなが好きになっちゃうよ。

「何でも、相談しなさい。
生徒が悲しむ姿は見てられないからな」


なんて言えば良いか分からなかった。

相談……しても良いんですか?

『先生が好き』

そう相談しても良いんですか?


無言の私に

「バイト…遅れちゃうな。送るよ」

そう言って、ポケットからチャリンと鍵を取り出した。



また……



乗って良いんだね……先生の車



完全に先生の手のひらの上に居る私。

先生は、又プレゼントをくれるんだね。


時間と言うプレゼントを。