「ねぇ…あなたなにもの?」

「ん?別に?普通の高校2年生」

あたし達は、普通に廊下を歩いている。

おかしいことと言えば、廊下の真ん中を歩くあたし達の両サイドに、女の子の行列ができていることだろう。

しかも、周りはキャーキャーうるさい。

「誰あの子」

「図々しい」

「離れろっつの」

…あたし、悪口言われてない?


あぁ〜…あたしは恐喝されているんですよ〜…

あたしの予想だと、目の前の男は、仮面カブリのクソプリンスですよ〜…

目を覚まして〜…

それにしてもこの男、謎だらけだわ…

校門を出ると、彼は急変した。

「おい李衣。おせぇぞ」

……は?何この態度。

「李衣っ!!」

「なぁにぃ?颯さまぁ?」

あたしの適当かつ、様付けで、彼の額に血管が浮き出た。

「てめぇ…俺をからかうとは、身の程知らずが」

「はい?あなたこそ、あたしを彼女にするなんて、馬鹿じゃないですか?」

「ぁあ?やんのか?」

「めんどいんで、やりません」

「李衣…お前…そこらの女とは違うな」

「当たり前。疾風くんの彼女だったんだもん。この地区でゆうめ…ぅむぐぅうーー!!」

疾風くんの説明中に口を手で塞がれた。

「わうぃううをー!!!」
(なにすんのー!!!)

叫んだ瞬間、離された手。

酸素を目一杯吸い込む。