「俺、何かしたか?」

「颯…」

あたしが顔を颯に向けると、颯は自分のマンションを真っ直ぐ見ていた。
あたしに顔を向けるのが怖いのかな?

「あのね?…颯…」

切り出すのも、ちょっと無理…
なんか、緊張して…
声が思うようにだせないよ…

「うん…」

颯は、私の気持ちを察してか、ただ聞いているだけ。
目線はそのまま、自分のマンション。

「颯が…ね?おん…女の人といるとこ…見ちゃって…それで…」

「女?」

颯は、眉にシワを寄せて、こっちに顔を向けた。
明らかに、何かわかってないっぽい顔。