「だから…李衣の気持ちも、美代の気持ちも、踏みにじってたことに気付けなかった」
不意に、疾風は天井を向いた。
「ははっ…馬鹿だよなぁ…ほんと。…成長してない。立派な大人だっていうのに、心は子供のまま…」
「美代さんは…疾風に対してなんていったの?」
「美代は…俺に何も言わなかった。ただ“彼女に謝りたい"それしか言わなかった」
何それ。
つらすぎるポジションじゃん…美代さん…
「ありえない…なんでそのとき“美代は悪くない"っていわなかったの?」
「…いえなかったんだよ…俺がいえる立場じゃないって…思ったんだ。だから…俺は何もいわずに美代の部屋からでた」
はぁ?!
「ちょっと待って。同居してたわけ??」
「あぁ…」
「疾風…どんだけ悪い男なの?美代さんの気持ち…踏みにじってまた踏んでんじゃん」
「え……」



