「章吾さん、とにかく公民館に戻りましょう。話しはそこで」


「そうだな。俺達びしょ濡れだ。雨は強くなる一方だし戻ろう」


 春樹も穏やかな云い方で、章吾に声をかけてくれたおかげで少し落ち着いたのだろうか。力が抜けたようにうなだれる章吾を車に乗せ、三人は公民館へ向かった。

 さっき春樹が云った通り、雨は激しさを増し、バケツをひっくり返したようなという言葉がピッタリだった。

 公民館に車を停めると、陸は気が重かった。

 犯人がこの村に潜んで居らず、現れた形跡すらなかった以上、残っている五人を疑わなければならないから……。しかし次の犯行を食い止めるためなのだ。

 陸は葛藤しながら公民館の中に入って行った。