「どういうことなんだ。じゃあ、俺達の仲間の中に犯人がいるかもしれないってことになるじゃないか」


 瑞穂の家の前で、雨に打たれながら章吾は声を荒げた。

 やはりそうか……。嫌な予感が的中してしまった。彼らの中に犯人がいるかもしれない。そうならば、犯人が無差別に犯行を行ったとは考えにくい。始めから真優を狙った犯行だろう。次は誰が狙われているのだろうか。それだけでも分かれば、その誰かを守ることだって容易なはずだ。

 陸は声を低くして、章吾と春樹に問うた。


「真優ちゃんに恨みを持つ人間に心当たりはないと、全員がそう答えたけれど、恨まれていそうな人に心当たりはありませんか? もしそれだけでも分かれば、その人を守ることだって出来るんです」


「俺達の中に、恨まれる覚えのあるやつなんて一人もいねぇよ!」


 章吾は声を更に大きく張り上げた。

 しかし誰かに恨まれていたから、真優は殺されたのではないか……という言葉を飲み込み、陸はなるべく穏やかな口調で云った。