魔念村殺人事件

　Ｋ県の空港に到着すると、すぐ近くの一軒しかない空港レンタカーで車を借りることにした。そして車の側で店員から、元々車に付いている傷の確認やら保険の説明を受けていたのだが、春樹が隣にいるはずの陸を見ると、いつの間にかいなくなっており、慌てて辺りを見回した。すると、陸は事務所に入り、事務のおじさんと何やら話しをしていたのである。

　車の鍵を預かったところで、ようやく陸が事務所から外に出てきた。


「陸、何やってたんだよ。説明も聞かないで」


「ごめんごめん。もう出発出来そうだな」


　陸は謝ると、さっさと助手席に乗り込み、春樹は苦笑しつつ運転席に乗り込み車を発進させた。

　Ｋ県の空は雲行きが怪しく今にも雨が降り出しそうだが、気温は高く蒸し暑かった。

　車のクーラーを付けたのだが、なかなか涼しくならないため、陸と春樹は額に汗をかいていた。