陸は一度目を伏せると、視線を正信に向けた。


「正信君、美紀ちゃんが殺された事実を知るためには、君が鍵を握っていたんだ」


 正信は驚きの色を見せ声を震わせた。そして春樹達の視線が一斉に注がれる。


「ど、どうして俺なんですか?」


「正信君からの証言がなければ、きっとまだ美紀ちゃんのことは何も分からずじまいだった。元々春樹達が村にいる頃から、鈴音ちゃんは美紀ちゃんに嫉妬していたんだと思う。まず、鈴音ちゃんは春樹に好きだと告白したが結果振られた。その後、自分の好きな春樹が美紀ちゃんに告白して付き合い始める。そこで諦める人もいるだろうけれど、鈴音ちゃんは諦めず、春樹が村を出る前の日に二度目の告白をする。でも春樹は美紀ちゃん一筋だったから断ったんだ。そして、真優ちゃんが正信君に告白したけれど、正信君は美紀ちゃんが好きだからと断ったんだよね? きっと振られた真優ちゃんは、鈴音ちゃんにそのことを話したんだと思う。そして真優ちゃんを振った正信君も美紀ちゃんに告白して振られた。その時、美紀ちゃんは『高校を出たら、春樹と同じ東京に行こうと思ってる』と云ってたんだよね?」