魔念村殺人事件

「う、嘘だろ? 石川さん、そんな冗談笑えませんよ」


 章吾は陸を黒縁眼鏡の奥からねめつけた。

 春樹と瑞穂は呆然としており、正信は頭を抱えて俯いている。


「嘘じゃありません。そして美紀ちゃんを殺したのは間違いなく鈴音ちゃんでしょう」


「ふざけるな! それならどうして鈴音まで殺されたんだよ! あれが自殺に見えるのか!」


 章吾は立ち上がると、今にも陸に掴みかかる勢いだった。

 しかし平静を装って陸は説明を続けるしかない。

 複雑な気持ちを抱えたまま、きっぱりと云った。


「確かに鈴音ちゃんは自殺ではありません。殺されたのです」


「じゃあ鈴音が美紀を殺して、鈴音は誰に殺されたっていうんだよ!」


「美紀ちゃんが誰かに殺されたという事実を知った人物です」


 そこで瑞穂は唇を震わせ陸に問うた。


「その人物って? 石川さんは分かっているの?」


 陸は頷くと、今度は春樹が視線をゆっくりと陸に向けた。