瑞穂は悲鳴を上げるとしゃがみ込んだ。

 陸と春樹は駆け寄り鈴音の息を確かめた。しかし既に呼吸をしていなかった。脈を確かめようと腕を掴むと氷のように冷たくなっており、死んでいるのは明らかだった。


「何でだよ……。鈴音」


「春樹、章吾さんと正信君を起こしてきてくれ」


「ああ」


 春樹にそう告げると、ふらふらと力なく部屋を出て行った。

 陸は鈴音の死因は何だろうと調べ始めたが、暗くてよく見えないので、腕時計のバックライトを鈴音に照らした。足元から順に照らすと、首の部分で手を止めた。鈴音の首には紐か何かで絞められた痕が残っていたのである。

 絞殺……。自殺ではない。やっぱり殺されたんだ。とにかく話しをするのは全員集まってからだ。

 部屋の入り口では、瑞穂がしゃがんだまま、すすり泣く声が聞こえた。そして廊下をバタバタ走る複数の足音が聞こえたと思うと、血相を変えて章吾と正信、春樹が入ってきた。


「嘘だろ、鈴音! おい、返事しろよ!」


 章吾は鈴音に駆け寄ると、鈴音の身体を揺さぶった。

 正信は呆然としており、鈴音に視線を向けたまま入り口で立ち尽くしたまま。

 春樹は章吾に駆け寄ると、隣りで声を殺し泣いていた。

 さすがに家族同然の仲間が二人も立て続けに殺されたんだ、冷静でいられるわけはない。

 しばらく、鈴音の部屋は悲しい時間に支配されていた。