まず一番近い瑞穂の部屋をノックすると、すぐ返事があり引き戸が開いた。

 瑞穂は寝ていたのだろう、目を擦りながら出てきた。


「瑞穂、とにかく一緒に来て。話しは後だ」


 ただならぬ雰囲気に、瑞穂は神妙に頷くと陸達と一緒に鈴音の部屋をノックした。

 しかし返事はなく、不安に駆られた陸は引き戸を思いっきり開けた。

 すると、明らかに何かが変だったのである。

 鈴音が寝ている身体の回りには、たくさんの葉っぱが落ちていて、章吾が届けた食料らしき食べ物も封が開けられ、中身がバラバラとぶちまけられていた。葉っぱと食べ物に囲まれていたのである。

 こ、これはわらべ唄の二番じゃないか――。 


『山から訪れて来るだろう。色とりどりの魔物達。ご馳走抱えているよ。誰が食べると云うのだろう』


 葉っぱは山から来たということを現しているというわけか……。