うんうん、と頷いてから、またフロントへ戻ろうと翻えしたあたしの背中になんだか気配を感じて、おや、と振り返る間もなく、 そのまま、ゆっくり近付いてきた彼は私の手首を強く引く。 思わずお盆が手から離れてカンッと高い音が通路に響いた。 その次の瞬間、目の前には四宮君の長い睫毛。 押し付ける様に、唇が重なる。 …?? 「…おまえ苛々する。」 四宮君は唇を離すと乾いた声で言い放った。