「今の、俺の部活の後輩なんだ。悪いことしたね」

「え?あ、あの・・・っ」

「膝、血出てるから。良かったら使って」



そう言って差し出された、一枚の綺麗な黄色いスポーツタオル。

反射的に受け取ってしまい、

それから「や、やっぱりいいです!」と俯きながら押し返す。

何これ。

何これ。

恥ずかしくて、顔が見れないんですけど───!!



「た、たいした傷じゃないですし!それにこんな綺麗なタオル、汚したら悪いし!」

「気にしなくていいよ。女の子の体に傷作ったら大変だろう?」



“女の子”



その言葉にかぁっと体が熱くなる。



「アイツの代わりに謝らせてくれる?ごめんね、ぶつかって」

「ほ、本当に大丈夫ですから・・・だから、あの、このタオル・・・」

「ごめん。ちょっと部活に遅刻してて急いでるんだ、俺。アイツと同じくね」



ちらり、と目だけ上を向けたら、苦笑する彼と目が合った。



真っ黒な少しだけ無造作にワックスでいじられた髪。

優しそうな、アーモンド形の瞳。

スッと通った鼻筋と、薄めの唇。

全てのパーツが一瞬で目に焼きついて、

熱くなって、

恥ずかしいけれど目が離せなくって、

体全体が心臓になったみたいにドキドキした。