いつもの様に図書館の隅で本を読んでいると、足音が聞こえてきた。 その足音はこっちに近付いて来ている。 誰? 初めての事に緊張が走った。 姿を現したのは全身を黒い服で覆った青年だった。 青年は私なんかには目もくれず、小さな窓を覗き込む。 「……ひまわり」 そしてそう小さく呟いた。 なんの音もしないこの場所は、彼の小さな呟きさえはっきりと私の耳に届いた。 「誰……?」