† … † … †
      渡辺side


「ん…」

暑い、とりあえず暑い。
額に浮かぶ汗を拭って目を開ける


「はぁ…」

ん?ここ寝室…?リビングのソファーで寝てたはずなんだが…とぼぉっした頭で考えていたら
カタンッ トントントントンとリズムの良い音が聞こえてきた


「誰かいるのか…?」

怠く重い体を無理矢理起こして扉を開ける

「………春野…?」

エプロンをつけた春野らしき女がキッチンで何か作っているようだった。
するとその女がこっちを見て目が合った

『あっ、渡辺くん!!起きて大丈夫?』

タオルで手を拭きながらそそくさと近付いてきた

「春野か…」

『?うん。ゴメンね、勝手に上がり込んで。
チャイムならしたら出て来てくれたんだけど…
意識朦朧としてたから覚えてないかも。』